ポケットの中のストーブ、冬の最強レトロガジェット「ハクキンカイロ」の威力とは
1月は新春。
春という漢字が使われてはいるものの、季節的には完全に冬です。冷え込みでいうと1年の中でもこの時期が一番寒いのではないでしょうか。正直、外が寒すぎて事務所になんて行きたくないです。本物の春が来るまでずっとお家に篭っていたい…(←おい! by 嫁)。
「こんな寒空の下なんぞ歩いてられるか!!!」
そんな暴言、吐いてみたいですが当たり前ですが言えるわけもないので、前々からちょっと気になっていた、これを買ってしまいました。
それがこちら。
「ハクキンカイロ」です。
すみません、カイロよりもパッケージに目がいきます…。
大丈夫ですあなただけではありません笑。私も最初アマゾンの箱を開けてパッケージを見たときに「おい、おじさん」と思わず箱に呼びかけてしまいました。これほどまでに21世紀感が失われたデザインはなかなかお目にかかれません。「一周回って新しい」とはこういうことかと妙に一人で納得してまう、そんなノスタルジック溢れるデザインです。
まぁ、パッケージはさておき(個人的にはこのデザインは結構好きです)。
このハクキンカイロ、使ってみると分かりますが本当に優れモノ。「何でこれ今まで使ってなかったんだろう」レベルの逸品でした。
ハクキンカイロ?何それ?という方も多いでしょうが、これを読み終わる頃にはポチりたくなる衝動が止められないかもしれません。
ハクキンカイロとは?
ハクキンカイロは使い捨てタイプではない、本物の「懐炉」です。
ベンジンを燃料にプラチナの触媒を化学反応させて発熱をさせる、白金触媒式カイロというモノです(詳しい仕組みは、ハクキンカイロの公式サイトでご確認ください)
私の世代は基本的には知らないと思いますが、少し上の世代(40〜50代くらい)以上の方には、かなり懐かしいモノらしいです。燃料を入れれば何度でも使え、持続時間はなんと24時間(長い!!)。外出時にポケットに突っ込んでおけば、ポケットの中はまるでストーブのようにポカポカになります。
寒い冬にもってこいのレトロガジェット、それがこの「ハクキンカイロ」なのです。
カイロと聞くと使い捨てタイプがすぐに頭に浮かぶと思いますが、使い捨てカイロが普及し始めたのは昭和50年代頃。それ以前はカイロといえばこのハクキンカイロを指し、どの家庭にも必ず一つはあったそうです。
私がこのハクキンカイロを知ったのは、雑誌POPEYEの記事で紹介されていたからです。金属ボディのレトロ感がどこか無骨で、オシャレだなと思って購入してみたのですが、知ってる人からすると「え?ハクキンカイロ?!なんで今更そんなモノを…?」と、自分の感覚とはかなりギャップがあるようです。知っている人にとってみれば完全に骨董品。知らない人からすればオシャレなカイロ、この違いは面白いですね。
母はこのハクキンカイロを見て「あらー、懐かしい!」と声をあげてました。一緒に仕事をしている40代の仲間も「いやー伊藤さん、ずいぶん懐かしいもの持ってますね。どこで見つけてきたんですか?」と、完全に好き者扱いでした。ちなみに、これを知らない若者に見せたときの反応は「え?これカイロなんですか?超ヤバいですね」といった感じでした(何が超ヤバいのかは私にはわかりません笑)。
自分が知らないだけで、ハクキンカイロがこれほど認知度の高い物だったとは思いもよらず…
あまりの使い心地の良さに「これからハクキンカイロが流行りそうだな」なんて思っていましたが、まさかみんな知っていたとは。本当に自分の無知を恥じるばかりです。
でも、カセットテープが流行ってるのと同様、昔使っていたモノの人気が再燃するパターンは最近多いので、もしかすると今後ハクキンカイロブームが訪れる日もあるかもしれませんね。
ハクキンカイロの使い方
さて、ここからはハクキンカイロの使い方について、簡単にご説明させていただきます。気化したベンジンを使ってプラチナ触媒を化学反応させるって言われても…、実際これどうやって使うの?と思われる方がほとんどだと思います。
実際使うには色々と行程がありちょっと手間がかかるのですが、その手間も個人的には結構楽しんでやっています。これを楽しめるか、めんどくさいと感じるかでハクキンカイロの向き不向きが決まってくるかもしれませんね。
では手順です。
①ハクキンカイロの火口部を外します。
上から蓋、火口部、本体です。火口部は消耗品です。何年か使ったら、この火口部だけ取り替える必要があるようです。公式サイトで火口部だけの販売もしています。公式サイトではワンシーズンごとに火口部を取り替えることをオススメしていますが、実際には数年は使えるようです。
本体には綿が詰まっており、これが燃料タンクになります。ここにベンジンを注入していきます。
②ベンジンを注入します
燃料タンクである本体にベンジンを注入していきます。
ベンジンを注入する際には付属している専用のカップを使います。火口部を外した本体に、ベンジン注入用の専用カップを装着し、ベンジンを注ぎます。
カップにベンジンを注いだら、カップを縦に回します。
すると中にベンジンがゆっくりと入っていきます。
そして、注入後に一度本体を逆さまにし、余計なベンジンを搾り出します。
普通は何も出てこないですが、ベンジンが残っていたりすると故障の原因にもなるそうなので、この行程は飛ばさないようにしましょう。
③火口部の触媒に火を当てる
すみません、ライターでやったので写真が撮れませんでした。
画像では横に傾けていますが、実際には垂直に立てて火を当ててください。3〜5秒程度、触媒の部分に火を当てれば良いです。ちなみに燃えたりすることはありませんので、そこはご安心を。
あとは蓋をして、付属のフリース袋の中に入れておけば、1〜2分後には温かくなってきます。発熱しているときは、金属部分はかなり熱くなりますので気をつけましょう(やけどまではしませんがかなり熱いです)。
寒いなーと思って、カイロをフリースから出し、直接冷たい手で金属ボディを触ったりすると、だんだんぬるくなったりすることがあります。本体の温度が急激に下がったりすると発熱の反応が弱くなって消えてしまうそう(立ち消えというらしい)です。
ぬるいと感じる場合には使い方が悪い場合もあるので、以下のサイトを参考にしてみると良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
使い捨てカイロの13倍の熱量を持つと言われるハクキンカイロ(決して温度が13倍という意味ではないです)。一回温かくなると、24時間ずっと一定の温度で発熱してくれるので本当に便利です。寒い日は先日紹介したシームレスダウンのフリースポケットの奥にハクキンカイロを突っ込んで外出しています。この組み合わせが今のところ私の最強の防寒対策となっております。
無骨な金属ボディに燃料を注入して火であぶるとか、なんとなく物好きな男の嗜好をくすぐりますよね。もちろん女性が持っていても全くもって変なデザインではありませんし、気になるようであれば付属のフリース袋ではなく、可愛らしい袋を用意して使うのもアリだと思います。
ただ、一つ難点なのは臭いですね。ベンジンが気化しているので、どうしてもオイルの臭いがしてきます。さすがに、温かくてもベンジン臭いのはちょっと嫌なので、私は袋の中にサンタ・マリア・ノヴェッラのアルメニアペーパーを入れています。もちろん根本的な解決になりませんし、無臭が良いと言う人にはお勧めできませんが、臭いが気になるという方は是非お試しください。オイル臭さはだいぶ軽減されるので、私はこの方法であまり気にならなくなりました。
厳しい寒さが続きますが、ハクキンカイロをポケットに入れておけば体の内部から温まります。興味のある方は是非購入してみてください。ハクキンカイロお勧めです^^