「写ルンです」が最高のスナップシューターだと写真を見て実感した理由
「ルーズな休日」 写ルンですシンプルエースにて撮影
チェキに続き、最近個人的にブームとなっているカメラがあります。以前、studio9さんにも寄稿させていただいたのですが(記事はこちら)、最近私は「写ルンです」にハマっています。
「あぁ、あの修学旅行とかに持っていくやつか、懐かしいな…」
と思っているあなたはおそらく私と同世代(80年代生まれらへん)なのかと思います。
「写ルンです」と聞いてノスタルジーにひたることができるのは80年代生まれくらいで(←失礼ですね笑)、もう少し若い世代の間では「写ルンです」がおしゃれガジェットとして結構なブームになっているというのだから、何が起こるのかわからないなーと感じる今日この頃です。
そういえば、最近カセットテープとかも流行ってるし、なんかそういう流行の波みたいなのはあるのかもしれないですね。
まぁ、そんなわけで気になったので昨年くらいから「写ルンです」を使って色々と撮影したりしているのですが、これがまた面白い。出来上がった写真からビシビシと伝わってくる「フィルム感」がなんだかたまらないのです。
「渋谷スクランブル交差点前」写ルンですシンプルエースで撮影
「I’m left behind…」写ルンですハイスピードで撮影
今はスマホですら、コンデジに負けないくらいキレイに撮れます。誰でもその瞬間を止めたように切り取ることができる時代です。だからこそ、上ブレが小さいというか、単純に被写体のポテンシャルが高かったりするだけで「おおっ!」となる写真も多いです。もちろん構図だったり加工だったりが上手で目を引く写真もありますが、良くも悪くも上ブレは少ない。いい写真なんだけど何か物足りないし、なによりも「これどっかで見たことある気がする…」的な既視感がすごい。
なぜならみんな同じようにキレイに写真が撮れるから。一億総カメラマン時代。
でも「写ルンです」は画質のキレイさとかじゃないんです。これはチェキにも同じことが言えるのだけれども、そもそもで「写ルンです」を使ってる人は写真のキレイさとかはあまり重要視してない。むしろ鮮明さとは真逆のちょっと粗くてキッチュな写りをわざわざ求めている人が多いのかなと。実際、「写ルンです」で撮った写真の質感はやっぱりスマホの写りとはちょっと違っていて(その良し悪しは別として)デジタル供給過多の時代にこのアナログな質感は結構なニーズがあるのだろうなと、出来上がった写真を見て私は勝手に納得しているわけです。
「祭り」 写ルンですシンプルエースで撮影
撮影した画像をすぐ見て、気に入らなかったら撮り直すことができるデジタルカメラはとても優れていると思います。作り込んで作品の完成度を上げるという点でも、これはフィルムには決して真似できないことです。時間と手間をかけて誰もがうっとりと魅了されてしまう、ものすごくキレイな絵画のような作品を作り上げられるのも頷けます。
一方で「写ルンです」のようなフィルムカメラは、デジタルほど作品の作り込みはできないけれど、自分が「この瞬間だ!」「この切り口だ!」と感覚を研ぎ澄まして撮った瞬間にシャッターを押すため、自分の感性に正直な写真が出来上がるのかなとちょっと思ったりしてます。撮り直しって感覚もあんましないですし、何よりもシャッター回数が有限というところにものすごくシビアさを感じます笑。でも、だからこそ偶然の瞬間を切り取るスナップ撮影に向いているカメラとも言えるわけです。つまり作り込みを意識しないで、シャッターが押せる(シャッター回数を意識しなければ笑)。まぁ、スナップシューターとしては申し分ないと言えるでしょう。また、自分の感性がわかりやすく写真に表れるという点においては、デジタルよりも個性が出やすいカメラなのかなとも思います。
「Towering」写ルンですシンプルエースにて撮影
別にこれらのことは「写ルンです」だけでなく、フィルムカメラとデジタルカメラの対比と言っても良いのかもしれません。そしてそれらはよくネットで言われていることなので、私がここであえて話す必要もないのかも。。。
しかし、ちょっとした日常の偶然を自分の感性で切り取ることができる、そういうカジュアルな視点から考えてみると、どんなフィルムカメラよりもお手軽で、使いやすく、難しいことを考えないでシャッターが押せる「写ルンです」は、最強のスナップシューターと言っても良いのではないかな…なんて、出来上がった写真を見ながら、私はそう思ったりするわけです。